寝具の素材には色々なものがあります。素材毎に熱伝導率は異なります。熱伝導率とは字のごとく熱を伝えるスピードあるいは量と考えてください。 ねつの伝わり方としては、イメージとして1本の糸を思い浮かべて下さい。熱伝導とは、糸の片方に体から発する熱を糸の他方の端に伝えていくことなのです。
布は経糸と緯糸が織られたものです。綿は糸になる前の繊維状のものです。このふたつを組み合わせたものが布団の原型です。 素材が異なれば熱伝導率も異なるので、異なった素材の組合わせた布団の熱伝導率、保温力は当然異なります。
寝具の素材として熱伝導率の低い素材は何でしょうか?それはウールでもなく絹でもなく、もちろん綿でもなく「空気」なのです。羽毛布団とかムートンシーツが適温なのは空気層をうまく利用しているからなんです。
空気層が熱を蓄えているのであれば、羽毛布団の中にダウンではなく風船を入れれば、暖かいのでとの考えも浮かぶかも知れません。 しかし、風船内部の空気は移動しやすく、内部にまで熱を伝える媒体がありません。その為空気に熱を伝えて、かつ空気が移動しにくいダウンボールの様な存在が必要になります。
寝床を適温に保つためには、室温を調節することが理想です。しかし、室温をだけでは寝床内の温度は調節出来ません。例えば体が接している敷きパッドとか敷き布団の接地面の温度はどうでしょうか。 室温とは無関係ではありませんが、適温に保つためには不要な熱は放熱して、必要な熱は蓄熱する必要があります。この敷き布団との接触面においても熱伝導率と空気層が関係しています。
熱の伝わる方向は、暖かくなった熱は上昇するため掛け寝具に伝わります。もちろん体に直に接している毛布とか掛け布団には直接熱が伝わります。
敷き寝具にも熱は伝わります。体圧をかけて接触した面には垂直方向に熱は伝わっていきます。さらには水平方向にも熱は伝わっていきます。
垂直方向つまり下に伝わった熱は、最終的には床とかベッドのマットレスに吸収されていきます。 この熱を如何に調節するか、言いかえると夏場は放熱して冬場は蓄熱するかにより快適に眠れるかが決まります。
敷き寝具において水平方向に伝わった熱のコントロールも大切です。最終的には掛け寝具に伝わっていくことになります。如何に掛け寝具でコントロールするかにより快適さに違いが出ます。
熱の大半は敷き寝具に伝わります。掛け寝具に伝わる量の2倍はあると考えられます。この熱量を如何にコントロールするかは寝具素材の熱伝導率と空気層の組合わせにより差がでます。