夏の寝具はひんやり感が求められます。ひんやりするのはどうしてでしょうか。 氷に触るとひんやりしますが、枕以外には氷を寝具の素材にするわけにはいきません。 ひんやりするのは一気に熱が奪われるためにひんやり感じています。同じ温度でも素材によりひんやり感は違います。 例えば20℃のムートンシーツと鉄板では鉄の方がひんやりします。 同じ温度でも素材によりひんやり感の違いは、素材の持つ熱伝導率の違いによるものです。
麻と言えばリネン・ラミーなどがあります。リネン麻はラミー麻と比較するとチクチク感がなく上質と言われますが、ラミー麻も上質のものはチクチク感も無く価格もほぼ同じです。 繊維の中でも麻が熱伝導率が高いことが下のリストからも解ります。夏の寝具素材として麻が人気がある理由です。
麻が使われていれば、ひんやりと涼しいのかと言えばそうではありません。「ひんやりと麻パッド」などの広告を見かけますが、品質表示票の中を注意深くみる必要があります。 例えば表生地は麻100%で裏生地が綿100%であり、中綿素材がポリエステルのパッドがあると仮定します。 このパッドにおいては麻の熱伝導率が活かされるのは表生地のみとなります。ポリエステルの熱伝導率は低く0.20なのです。 麻の表生地から中綿のポリエステル素材には熱が伝わらないことになります。ひんやり感は一瞬にして終わりポリエステル素材の温もりが維持されることになります。
麻のパッドを購入する際は、表生地と中綿素材がどのようなものかを調べてから購入して下さい。特に中綿素材が麻100%のもがおすすめです。逆の言い方をすれば中綿素材がポリエステルの場合だと麻のパッドとは言えない使用感です。
パッドの素材を、表生地は麻100%、裏生地が綿100%、中綿素材を麻100%にすればどうでしょうか。これでかなりひんやり感は持続するようになります。 ただ夏向きのパッドの場合は、洗濯をする回数が多くなるので洗濯可能な麻綿である必要があります。コストは高くなりますが洗濯可能な麻綿入りのパッドは存在します。
いくら熱伝導率が良い素材でも、放熱または熱伝導をしないと熱は貯まります。熱を貯めないためには放熱をする必要があります。 放熱または熱伝導を効率よくするためには、熱伝導率の高い別の素材に熱を伝えるか、空気中に放熱をする必要があります。 麻以外で熱伝導率が高い素材となるとレーヨンなどがありますが、敷き布団綿にレーヨン100%はないと思います。混紡されたものはあるかもしれません。 麻100%のパッドと麻綿の敷き布団の組合わせはお勧めです。
熱を逃がすには、空気中に放熱する方法があります。放熱する面積を広くすれば良いわけです。その意味において麻100%のパッドは有効です。 更に掛け寝具も麻100%の寝具にすれば、体から出た熱も敷きパッドから掛け寝具に伝わった熱も空気中に放熱されやすくなります。